~k~


一匹の猫と、一人の絵描きのお話です。
物語として歌われるこの歌は、誰もが涙した一番のBUMPの感動作だと思います。


週末の大通りを一匹の黒猫が歩いていた。
みんなから嫌われていた黒猫は、孤独を望んでいて、誰かを思いやるなんて煩わしかった。
そんな黒猫を抱き上げたのは一人の絵描き。

「今晩は 素敵なおチビさん 僕らよく似てる」

黒猫は初めての優しさが、初めての温もりが信じられなかった。
腕の中もがいて、必死に逃げた。孤独と言う名の逃げ道を。
どれだけ逃げたって、その絵描きはついてきた。

それから猫は絵描きと二度目の冬を過ごし、絵描きは友達に名前をつけてあげた。
「黒き幸」”ホーリーナイト”
絵描きのスケッチブックは、ほとんど黒ずくめ。
売れないとわかっていながらも、友達のホーリーナイトの絵を続けが、そんな日々は、いつまでも続かなかった....。
貧しい生活に倒れた絵描きは、最後の力を振り絞って手紙を書いた。そして、彼はこう言った。

「走って 走って こいつを届けてくれ 夢を見て 飛び出した僕の帰りを待つ恋人へ」

それ故絵描きは冷たくなり、黒猫はたしかに手紙を受け取った。
目指すは、絵描きを待つ恋人の元へ。

雪の降る山道を、黒猫は歩く。
今は亡き、親友との約束を、その口に銜えて。
黒猫は子供に見つかり、「悪魔の使者だ!」と言われながら石を投げられるが、黒猫は耐え続けた。
なんとでも呼ぶがいいさ、俺には消えない名前があるから。そう思い、耐え続けた。
「ホーリーナイト」「聖なる夜」と呼んでくれた絵描きとの約束を守るために。
優しさも、温もりも全て詰め込んでくれた呼んでくれたこの名前。

「忌み嫌われた俺にも 意味があるとするならば この日のために生まれてきたんだろう どこまでも走るよ」

黒猫は辿り着いた、絵描きの故郷に。恋人の家まであと少し・・・。
走った、転んだ、すでに満身創痍だ。立ち上がるまもなく襲い来る罵声と暴力。
黒猫は耐え続けた、例えこの足が契れそうで引きずりながらも、走り続けた。

「見つけた この家だ」

手紙を読んだ恋人は、もう動くことはない黒猫に、アルファベット一つ加えて埋めてやった。


「聖なる騎士を埋めてやった」


涙なしでは聞けないこの曲。
歌詞の本当の意味はわかりましたか?
たぶん、皆様がひっかかってるであろう、「アルファベット一つ加えて埋めてやった」
タイトルの「k」という一字のアルファベット。

「聖なる騎士」とは「Holy Knight」
「聖なる夜は」とは「Holy Night」

この意味がわかった瞬間、俺は涙があふれました。